体験の子が来た日、普段と違う講師が見に来た日。子どもたちの動きは、明らかに変わります。同じメニュー、同じ時間なのに、いつもより一段うまい。環境が変わるだけで、子どもは伸びる——現場で何度も実感してきたことです。
一般社団法人HOT.D.D.C代表の佐久間駿です。今回は、この「いつもと違う環境」をどう活かしているかという話です。
お手本を任された日の顔つき
先日、あるクラスに体験の子が来ました。その日、いつもは途中で集中が切れてしまう子が、最後まで走り切りました。お手本を頼まれた子は、見たことがないくらい堂々と跳んでいました。
別の日には、普段そのクラスを担当していない講師が見学に入りました。このときも同じで、空気が引き締まり、一人ひとりの動きが良くなりました。子どもたちにとって「新しい大人に見てもらえる」ことは、それだけで特別なことなんだと思います。
そしてもう一つ、はっきり効果があるのが上のチームとの合同練習です。同じレベルの子だけでは何度やっても通らなかった技が、上級生と一緒に回すと通ってしまう。これは何度も起きています。
子どもは「同じ子どもができている」を見て伸びる
合同練習がなぜ効くのか。理由は2つあると考えています。
ひとつは、上手な回し手と組めること。回し手が安定していれば、跳び手は跳ぶことだけに集中できます。一人では届かなかった技に、仲間の力で届いてしまう。この「届いた」という体験が、その子の基準を一段引き上げます。
もうひとつが、お手本が大人ではなく子どもであることです。講師がやって見せると、子どもは「先生だからできる」と思ってしまう。でも2つ上の学年の子ができているのを目の前で見ると、「自分にもできそうだ」に変わる。この差はとても大きいです。
ちなみに、心理学でも
人は自分でやってみる前に、他人を観察するだけでも学習が進むとされています(観察学習)。そしてその効果は、モデルが自分と似ているほど大きくなることが知られています。
また「一人でできること」と「有能な仲間と一緒ならできること」の間には幅があり、学びが最も進むのはこの幅の中だという考え方(発達の最近接領域)もあります。上のチームと組ませるのは、まさにこの幅を狙っているわけです。
憧れの連鎖が、スクールを強くする
合同練習を見ていて一番うれしいのは、上級生の顔つきです。
下の学年の子に見られていると分かった瞬間、彼らは背筋を伸ばします。普段より丁寧に跳び、うまくいかない子には自分から声をかけにいく。誰かの目標になることで、その子自身がもう一段成長するんです。
そして見ていた下級生が、何年か後には見られる側になる。この連鎖がスクールの中で回り続けることが、私の理想です。HOT.D.D.Cの「HOT」はHeroes Of Tomorrow——明日のヒーローたち。ヒーローは、憧れた誰かがいたから生まれます。子どもたちが、お互いの憧れになれる場所をつくりたいと思っています。
まとめ
- 体験・見学・合同練習など「いつもと違う環境」は、子どもを一段引き上げる
- 大人ではなく「同じ子どもができている」姿が、自分にもできるという感覚を生む
- 一人では届かないが、上手な仲間となら届く領域がある。合同練習はここを狙う
- 見られる側になった上級生も、そこでもう一段成長する
次回は、なぜHOT.D.D.Cが勝利を目指すのか——私たちの考える「勝利の意味」について書きます。
HOT.D.D.Cのレッスンの様子は、スクール・会場のご案内から無料体験でお確かめいただけます。お子さまの「いつもと違う環境」の一つとして、ぜひ一度お越しください。