「あの子はできるのに、うちの子は」——習い事をしていると、どうしても他の子と比べてしまいます。でも子どもを一番伸ばす相手は、友達でも兄弟でもなく先週の自分です。HOT.D.D.Cのチームクラスでは、それを記録用紙で「見えるように」しています。
一般社団法人HOT.D.D.C代表の佐久間駿です。今回は、大会を目指すチームクラスでの取り組みの話です。
チームクラスで使っている「記録用紙」
やり方はとてもシンプルです。
- スピード(決められた時間に何回跳べたか)を毎回計測する
- その場で記録用紙に書き込む
- 次回の目標は「先週の自分の記録を超えること」
それだけです。ただ、この「それだけ」がチームの空気を変えます。
なぜ、他人ではなく自分と勝負させるのか
チームクラスには、当然レベル差があります。全国大会を狙う子もいれば、まだ基礎を固めている段階の子もいる。ここで「誰が一番跳べるか」を軸にしてしまうと、上位の子しか主役になれません。
でも相手が先週の自分なら、全員が同じルールで、同じように勝てます。一番跳べる子も、まだ数えるほどしか跳べない子も、「先週を超えた」瞬間に等しくガッツポーズができる。クラスの全員が主役になれる——これが記録用紙の一番の価値だと思っています。
もうひとつ大きいのが、成長が本人の目に見えることです。感覚だけだと、子どもは自分が伸びていることに気づけません。「今日はできた/できなかった」の点でしか見ていないからです。数字として積み上がっていくと、点が線になります。「自分は伸びている」と本人が信じられる状態をつくること。これが、苦しい反復練習を越えていく力になります。
ちなみに、目標設定の研究でも
「頑張ろう」という漠然とした声かけより、具体的で、少し難しい目標のほうが高い成果につながることが、数百件の研究を通して一貫して示されています。ただし条件があって、そのひとつが進み具合のフィードバックがあること。
記録用紙は、「先週の記録を超える」という具体的な目標と、「今日は何回だった」というフィードバックを、同時に成立させる道具でもあります。
数字は、子どもを追い込むためのものではありません
ここだけは、はっきりさせておきたいところです。
記録を取ると聞くと、管理や競争のイメージを持たれるかもしれません。でも私たちが記録用紙を使う目的は、子どもに「自分の成長を自分で見つけさせる」ためです。記録が伸びなかった日に子どもを責めることはありませんし、記録の順位を貼り出すこともしません。
チームクラスの講師陣は、そこをよく分かってくれています。記録が止まっている子には、数字ではなく別の角度から声をかける。伸びた子には、その場ですぐ気づいて言葉にする。数字はあくまで、子どもと講師が同じものを見て話すための共通言語です。
大会で勝つことも本気で目指しています。でもその過程で、子どもたちに「自分は昨日より進んでいる」と感じ続けてほしい。結果が出る日ばかりではない世界で、自分の成長を自分で見つけられる力は、ダブルダッチをやめたあとも一生使えるものだと思っています。
まとめ
- 記録用紙はチームクラス限定の取り組み。大会という目標があるからこそ機能する
- 相手が「先週の自分」なら、レベルに関係なく全員が主役になれる
- 数字にすると、点でしか見えていなかった成長が線になる
- 記録は競争や管理のためではなく、子どもが自分の成長を見つけるための道具
次回は、いつもと違う環境が子どもを伸ばすという話。上のチームとの合同練習で、なぜ急にできるようになるのかを書きます。
HOT.D.D.Cのクラス構成やレッスンの様子は子どもの習い事にダブルダッチもあわせてご覧ください。